No11

病気になってよかったことありますか?
との質問に、患者さんから頂いた文です。


ほとんどの人が平均寿命まで生きられるものだと錯覚していた。
老いる事は悲しい事、悪い事だと思っていた。
それらは間違いで老人になれることはとても素晴らしい事であった。

生花は枯れるからもったいないと思っていた。
枯れるからこそ その華やかさがなお一層美しいのだとわかった。
土や雑草や日差しや人の温もりが心地よい事を知った。

人間は無いものねだり。失って初めてわかったありがたさ。
これが初めからわかっていたらきっともっと素敵に生きられた。
でもずっと気づかずに一生を終えなくてよかった。

可能性は無限にあると信じていた、だけど本当は限りが結構すぐそこにあった。
だけど諦めなければ夢はどんな状態でも持てると言うこと。
多分諦めていたならば今生きていなかったと思う。

人間は平等と言うけれど本当は生まれた時からちっとも平等なんかじゃない。
病気もたぶんそうなんだと。
だから他人と比較する事はきっと意味の無い事。
病も含めてあの人より不幸とかあの人より幸せだと妬んだり蔑むこと事がとっても愚かなんだなということ。
今この時間に自分がちゃんと生きていることに感謝。

今自分が恩恵を受けた治療は私より前に病気になった沢山の人達の辛い経験があったからなのだと思う。
だから私の辛かった治療経験も次の人の役に立って欲しいし、きっと役に立つのだと思う。
そして将来の全ての子供達により多くの幸福をもたらして欲しい。

病気になってよかったと思う事=・・・そう思える自分になれた事。