告知以来暗くなっていた我が家にほんの一瞬明るい光が差しました。それは、未来の赤ちゃんの卵が成長していく姿を見ることができたことです。夫はとても嬉しそうでした、私も母親になった気分でした。ひとときの幸せを感じることができました。
■採卵の費用について
先方からの
「血液疾患の方には採卵費用をボランティアでさせていただきます。」
という申し出により採卵費用の約20万円(内訳 1.採卵料15万円 2.消耗品費4万円(針代、培養液など))が免除になりました。
結局、私が支払ったのは採卵までの費用として、診察料、薬代、検査代等で約3万円(スプレキュア代1万円含)でした。
■凍結費用に関して
1)凍結保管処理費 52,500円(凍結容器、凍結溶液他)
2)凍結保管管理費 75,600円(凍結用液体窒素、凍結用品)(1ユニット6個まで)合計 128,100円(3年間)→凍結の際支払います。(1ユニット追加管理費 52,500円)
3)延長凍結保管費 25,200円(1年間)
*凍結卵の保管期限は、50歳まででその後は廃棄処分となる。
■採卵の結果
今回は、ホルモンのバランスが悪く良い卵が採卵できず凍結まで至りませんでした。
結果が出なくて残念でしたが、出来る限りの事はやったので白血病の治療を開始しました。
■その後、担当の方と少しお話をさせていただきました。
現在、この病院では、約50名の未受精卵子の凍結卵を管理しているそうです。
また
「血液疾患を克服された方たちがどのくらい妊娠・出産まで至ったのか」
と尋ねたところ
「未だどなたからもその後の処置についての依頼はありません。」
というお答えでした。
そして、さらに症例がないことについて質問してみたところ、患者ご本人が独身であることや再発を恐れて踏み切れないことが主な理由でした。
私は、卵子の凍結保存が許可されてからすでに約4年もの月日が経過しているので、出産経験者がひとりぐらいいてもおかしくないと簡単に考えておりました。このとき、自分の病気に対する考えの甘さを感じ、そして病気がやけに恐ろしく感じた一瞬でした。「再発」などというのは、自分の辞書には全くありませんでしたから。告知以来、初めて厳しい現実を知り希望を打ち砕かれたような気がしたのでした。
しかし、苦しんだ分様々な現状を知り得たのでそれでも良いと思い、採卵に臨みました。
■終えて
これから白血病の治療される方で主治医から卵子の凍結保存のお話が出れば、後悔をしない為にもトライしてみるのが良いと思います。
一部の患者さんの中には自分から相談したにもかかわらず、医師から採卵は大変な処置だとか、危険だとか、意味が無いと言われ断念した方たちがいました。
治療によっては、将来の妊娠、出産する機会が失われるかもしれないこと、これは患者にとってとても大きな問題だと思います。だからこそ、医師には的確に病状を説明した上で、採卵の最終決断は患者本人に委ねるべきだと思っています。
最後に、
白血病の治療方法も新薬が開発されるなど医療技術も日々進歩している中、患者の命が最優先されるのはもちろんのことですが、これからの課題として、特に女性の不妊についてはいろんな対策が検討され、将来安心して出産できるような時代が来ることを願っています。
■先生から
「三年後かそれ以降になっても何か困ったことがあったらいつでも相談に来なさい、その頃には、医療ももっと進歩しているだろうからもっと力になれると思うよ。頑張っておいで」
と、暖かいエールを頂きました。
どんなに高価な薬であっても、先生からの励ましのお言葉に勝るものはありません。私は勇気と希望を全身に浴びて、よし、これから治療に頑張るぞ!という気持ちで病院を後にしました。